それ、僕が図解します。

世の中のビジネスモデルやいろんなものの複雑な仕組みを、できるだけわかりやすく説明してみたいと思います。主な話題はネットビジネス、不動産、オタクネタ、時事ネタなど。中途半端な説明や、図を使ってないものもあるかもしれませんが、温かい気持ちでお許しください。

人に「下積みの大切さ」をどう伝えるか?

 友人で作家の常見陽平さんから新著を頂いたので、早速読んでみました。

サラリーマンの新しい掟   下積みは、あなたを裏切らない!

サラリーマンの新しい掟 下積みは、あなたを裏切らない!

 

  常見さんは働き方などの本を沢山書いていて、定評の有る方です。今回は「下積み」についての重要なポイントを30個ぐらいの項目に分けて整理して解説してくれています。文章は平易でとても読みやすく、多分あっという間に読めます。このシーズンの新卒社員や、2年目の社会人の方におすすめしたい本です。

自分に見えてて、相手に見えないことをどう伝えるのか?

 「下積みの大切さ」を伝えようとすると、どうしても根性論に聞こえがちになってしまいます。下積みのメリットを明快に説明しようとすればするほど、具体例を多く出す必要があるので、いきおい経験則的な話になってしまいます。相手が興味を持って聞いてくれればいいですが、そうでない場合「俺は若い頃はな・・・」という話にしか聞こえません。

 実際、この本でも常見さんの体験のオンパレードです。彼の場合はその体験があまりに強烈で、かつ、パンツを脱ぐような正直さで書いているので、共感を持って読めるのですが、一般の人ではこうはいきません。

山の入口では、その先の峰は見えない。

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 先輩は過去に苦労しています。なので、「この山ぐらい乗り越えられないと、次の谷はもっとデカいぞ」と、知っています。しかし、山の入口にいる人間にはその先にある谷や山は見えません。誰もが知っているこのことを、伝える側は強く意識する必要があると思っています。

僕が他人に何かを教える時、必ずやっていること

 今年、僕のところに新入社員が一人配属されてきました。事業企画に興味があるということで、僕はお金の儲かる仕組みについて説明することにしました。

 新入社員の彼女は、大学生の間、スープカレー屋さんでかなりがっつりアルバイトをやっていたとのこと。そのスープカレー屋さんがいくら儲かっているか知っているか聞いてみたところ、知らなかったので、一緒に計算をしてみました。一日の客数、単価、売上、バイトの人数、シフトの状態、家賃、原材料費などなど。そうやって分解すると、どのぐらい儲かるのか、何がポイントなのかが分かります。


 僕が他人に何かを教える時、必ずやっているのは、その人が過去に何をやっていたのか聞くことです。新入社員も3月までは、それまでの組織の「最年長」だった可能性が高いわけで、下から見た景色と上から見える景色に違いがあることは経験しているはずなのです。そこから話をすりあわせていくようにして、上から押し付けることがないように気をつけています。

この本の使い方

 とはいえ、人生何が役に立つかなんて予めわかりません。「下積みの大切さ」を積極的に伝えるのは結局のところできないのではないか?と、ちょっと思っています。人が「自分を鍛えたい!」と思った時に伝えないと、むしろ逆効果かもしれません。

 この本は、大人の人が、自分で読んで、「俺が言うより、この本読んでもらった方が早いだろう」と考え、若者の目につくところにそっと置いておくようなそんな使い方がいいかもしれません。

 ただ、大人の人でも、最後の棚橋弘至さんとの対談は必読です。泣けます。久しぶりにプロレスを見に行きたくなりました。うおー。