それ、僕が図解します。

世の中のビジネスモデルやいろんなものの複雑な仕組みを、できるだけわかりやすく説明してみたいと思います。主な話題はネットビジネス、不動産、オタクネタ、時事ネタなど。中途半端な説明や、図を使ってないものもあるかもしれませんが、温かい気持ちでお許しください。

NISAについて説明するよ。 第4回 NISAの口座で取引する金融商品は

NISAについて説明するよ。 第4回 NISAの口座で取引する金融商品は

 

第1回 NISAの仕組みについて

第2回 NISAの問題点

第3回 NISAの口座を開設するなら

第4回 NISAの口座で取引する金融商品は?

 

はじめに、このブログは私の個人的見解に基づくものであり、NISAに関する法的、取引制度的に正しい説明をしているわけではありません。また特定の金融機関・金融商品の勧誘をするものでもありません。文中に出てくる金融機関・金融商品と取引関係はありません。また、筆者は金融商品、投資に関して特別な教育を受けた専門家ではありませんので正確性は保証しません。投資は自己責任でお願いします。

 

NISAの仕組みは理解した。各金融機関ごとのキャンペーン内容も把握した。じゃあ、NISAを活用して投資をするぞ!という場合、何を買ったらいいんでしょうか。商品ごとに見て行きたいと思います。

 

上場株式(現物株)

 

2013年は株式相場は空前の活況でした。日経平均で140%の成長。2倍以上になった銘柄もゴロゴロあります。ガンホーオンラインエンターテイメントは、1月4日の8,420円から、最高は20倍近い163,300円まで上がりました。12月11日時点でも75,000円と9倍近い値段。仮に100万円分持っていたら、1年後に900万円になっている計算です。キャピタルゲインは800万円ですから、NISA口座によって160万円の税金が免除されることになります。

が、「大当たり」を引き当てる可能性がある反面、半分以下や紙くず同然になってしまう株式があることも確か。たとえ損が出ても、特定口座や一般口座での利益と通算できず、損失の繰越もできません。利益に課税されない反面、損失もなかったこととされてしまうのです。

この「NISAでの損失はなかったことになる」という特性を考えると、NISAの中で程々のバランスをとって投資するのが良さそう。例えば、円高に強い輸出銘柄(自動車とか)と、円高に弱い銘柄(航空とか)を組み合わせる、など。もちろん、100万円というバジェットの中で割り振りをするには限界があります。また、「空いた枠は再利用できない」という性質から、片方の株を売ったあと、しばらくは偏ったままで運用しなければならない、という点にも注意が必要です。 

現物株の取引に使うには、いまのNISAの仕組みでは制限が厳しそうです。

株式投資信託

 

NISAのような少額投資で、投資先を分散したいと思った場合に、有効なのは株式投資信託です。これは、投資家の資金を運用の専門会社(投資信託運用会社)に集め、専門家に運用してもらおう、というものです。(図は投資信託協会から)

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一度買ったら、自動的に分配金が入ってきます。株式のように売却して利益を確定する必要もありません。分配金は、投資信託によって、毎月分配されるもの、毎月+ボーナスがあるもの、年2回決算のものなど様々です。分配金が自動的に再投資されるコースなどもあります。逆に、儲かっても儲からなくても運用手数料がかかります。NISAの仕組みは、こういう小規模分散投資で長期間持ち続けるスタイルには合ってそうです。

ところで、この分配金ですが、普通分配金と特別分配金があります。NISAではこの両方が非課税になります。ところが、通常でも特別分配金は非課税で、課税の対象になるのは普通分配金の部分のみです。つまり、特別分配金の割合が多い投資信託の場合、NISAで買うメリットが小さいといえます。

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投資信託は世の中に数多く有り、数百本とか千本以上あります。その中から、なるべく運用手数料が安く、損失も出なさそうなものを選んで、かつ、普通分配金の割合が多くなりそうなものを選ぶ、となると至難の業です。NISAの狙いである、投資の裾野を広げるという目的に合致しているのか、疑問です。

ETF(上場投資信託)

ETFとは、普通の株式と同じく、株式市場に上場している投資信託のことです普通の投資信託に比べると、手数料などが安く抑えられているのが特徴です。分配金もあります。何かの価格と連動しているものが多いです。日経平均や、TOPIX、金の価格、などです。

 個人で日経平均の銘柄全部を買うことは無理ですが、ETFであれば数万円で買うことができます。そうやって個人から集めたお金で、ファンドが日経平均の銘柄を実際に全部買っているのです。ちなみに、金のETFで世界最大のスパイダーは、金ETFが買われるたびに実際に金を購入しており、残高が1,000トン近いそうです。

 現物株よりは値動きがゆるやかになるので、長期投資には向いています。また、中身は投資信託なので、分散投資を比較的簡単に実現できます。そういう意味ではNISA向きといえるでしょう。一方、気になるのは、利益を確定するためには現物株と同じく売却する必要があるということ。分配金も出るには出ますが、大抵の場合、期待できる金額ではありません。

利益確定のために一度売ってしまったら、その年はNISAのその枠は再利用できないので、売るタイミングが非常に重要で、難しいです。もちろん、現物株より緩やかとはいえ、値下がりリスクも十分にあります。リーマン・ショックみたいなのがあれば簡単に半額ぐらいになります。と、いうわけで、NISA口座を使ってETFを買うには、十分な経験と判断する眼が必要そうです。

REIT(不動産投資信託

株式のETFと同様、たくさんの投資家からお金を集めて、不動産を購入して運用する、というのがREITです。また、ETFと同様に証券取引所に上場しています。ファンドによって性質は様々で、オフィスビルにしか投資しないもの、マンション・住居にしか投資しないもの、ショッピングモールなどの商業施設にも投資するもの、不動産ならなんでも投資するもの、などいろいろです。

REITの場合、一定の条件を満たせば実質的に法人税がかからない仕組みとなっており、稼ぎだしたお金をそのまま収益の分配金として払い出すことが出来ます。投資信託と同じく、分配金で収益を得ます。株式同様に値上がり、値下がりもするのですが、元が不動産なので株式ほどには変動しません。長期的には利回りと連動して値段が上がり下がりします。比較するときには、この分配金の利回りで比較されることが多いです。大体3-5%の間ぐらいを推移しています。 

比較的NISAでの投資には向いていると思います。ただし、実際に買うかどうかは、今後5年〜10年かけて、不動産の値動きがどう推移していくかを慎重に検討する必要があります。アベノミクス以来、インフレ期待から、不動産の値段が上がり、利回りは下がりました。たとえば、想定シナリオとして、今後、消費税が増税され、景気が冷え込むとします。その場合、家賃は据え置きまたは値下げになるので、不動産投資にとっては利回りを実現しにくい環境になります。そういったシナリオをいくつか考えて、実際の投資を決めていく必要が有ります。

最後に 

と、いうことで、新制度NISAについて、思っていることを4回にまとめて書きました。冒頭にも書きましたが、僕は金融商品や投資のプロではありません。なので、僕の理解がそのまま正しいとは思っていません。あくまで、ウェブ上の情報を集めてきて、読んだだけです。しかし、素人の僕が見た時に、いったいこの制度を使ってどうやればいいか、ぱっとわからない、というのは、果たしてどうなのでしょうか。結局どの商品を買うにも経験やプロのアドバイスが欲しいです。政府が本気で「貯蓄から投資へ」と考えているのであれば、もうちょっとシンプルで、投資家にとっても、金融機関にとっても、市場参加者にとっても、わかりやすくメリットがあるような仕組みをとってもらえないかと、思うわけです。

とはいえ、金融業界は規制の中で工夫をしながら生きてきた業界。NISAに合った専用商品を出してくる日が来るかもしれません。