それ、僕が図解します。

世の中のビジネスモデルやいろんなものの複雑な仕組みを、できるだけわかりやすく説明してみたいと思います。主な話題はネットビジネス、不動産、オタクネタ、時事ネタなど。中途半端な説明や、図を使ってないものもあるかもしれませんが、温かい気持ちでお許しください。

『楽天でんわ』が半額でかけられる理由を解説しよう。

『楽天でんわ』発表

楽天グループのフュージョン・コミュニケーションズさんが、『楽天でんわ』を発表しました。

フュージョン、スマホの通話料を半額にする「楽天でんわ」 -INTERNET Watch

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  電話番号がそのままで、通話料が半額になるそうです。しかも、LINEみたいにお互いにアプリを持ってたりする必要がなく、アプリを持ってるのは自分だけでOK。他社の携帯電話でも固定電話でもどこにかけても、通話料が半額になります。

 LINEとかcommとかFaceTimeとか050+とか「無料」がいっぱいあるのに、なんでいまさら有料の電話サービス始めるの?という疑問もあるかと思います。じつは、それらとは根本的に違うサービスです。「いままでの電話番号がそのまま使える」「IP電話ではない、普通の電話のクオリティのまま固定電話にも他社のケータイにも半額でかけられる」というのがメリットです。

 

 

スマホの通話料っていくら?

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そもそも、スマホの通話料って、いくらなんでしょう。ざっと調べたのが上の表。実際には、加入プランなどによって異なりますが、XiやLTEだとだいたいこんな感じ。もちろん、それぞれのキャリアで「家族同士無料」「ソフトバンク同士なら無料(1時〜21時)」みたいなことをやっているので、これらはあくまで他社の携帯電話や、固定電話に掛けるときに掛かる料金です。かつてはあった「無料通話分」もいつの間にか無くなり、料金は各社横並びです。

なんで、「会社同士なら無料」なのに、他社にかけるとお金がかかるのでしょうか。それには「接続料」(アクセスチャージ)という考え方があります。

 

 

 

接続料とは?

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POIとは「相互接続地点」のこと。利用者がこの接続地点をまたいで掛けるとき、上の図の場合なら、NTTドコモはNTT東日本から一定時間、回線を借りてつなげることになります。このとき、NTTドコモがNTT東日本に払う料金を接続料(アクセスチャージ)といいます。利用者が払う通話料は、当然この接続料込みの価格になっています。

 

 

接続料はいくら?

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その接続料がいくらぐらいかというと、上の図の通り。事業者同士の料金なので、ユーザが支払う金額よりはもちろん大幅に安いです。ユーザが事業者をまたいでかけるとき、その通話料のうち2円-3円はこの接続料なわけです。

 

 

『楽天でんわ』はどういう仕組なのか

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今回の『楽天でんわ』は、間にフュージョン・コミュニケーションズのネットワークが入っています。相互接続地点が2箇所あります。間に入っているので、フュージョン・コミュニケーションズのことを「中継電話」と呼んだりします。

ユーザは、フュージョン・コミュニケーションズと契約をして電話をかけます。仮にNTTドコモの携帯電話を使っていても、通話料はフュージョン・コミュニケーションズに支払います。そうするためには、特別な発信番号「0037-68」を付ける必要があるのですが、今回の『楽天でんわ』アプリは、この「0037-68」を自動的につけてくれる、そういうアプリなのです。昔の「マイライン」みたいなやつです。

 

 

どうやって半額になるのか?

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ソフトバンクの携帯電話から『楽天でんわ』でauの携帯電話にかけた場合、左右のPOIでそれぞれ接続料がかかります。利用者はそれらをまとめて支払います(エンドツーエンド料金といいます)。右側のPOIは3.12円です。左側はわかりませんでしたのでX円とおきましたが、おそらく、他と同じく2.85円になると思われます。その場合、フュージョン・コミュニケーションズの取り分Y円は4.53円になります。半額なのに、実は粗利率が50%近い、なかなかいい商売なのではないかと思います。

 

 

注意点はあるのか?

自動的に「0037-68」を付与するので、そのままだとすべての通話がフュージョン・コミュニケーションズ経由になります。ところが、「家族間」や「同じ電話会社同士」の場合、無料のことがあります。そういったものも10.5円/30秒になってしまいます。なので、『楽天でんわ』アプリで、予め「この人には0037-68をつけないでください」という登録をしておくか、家族や同じ電話会社の人には、通常通り掛ける、という使い方の工夫をする必要が有ります。