それ、僕が図解します。

世の中のビジネスモデルやいろんなものの複雑な仕組みを、できるだけわかりやすく説明してみたいと思います。主な話題はネットビジネス、不動産、オタクネタ、時事ネタなど。中途半端な説明や、図を使ってないものもあるかもしれませんが、温かい気持ちでお許しください。

「海外MBAで年収2,000万が保証されている」という記事を読んだので

MBAと年収に関する記事を読みました。

blogos.com

この記事の内容を簡単にまとめると

  • 筆者は早稲田ビジネススクールで教授をしていた方。
  • 海外でMBAを取ると年収2,000万が保証される。
  • ただし、年収が高いのはハーバード、INSEADなどごく一部の学校だけ。
  • 早稲田、慶応など国内のMBAを取ったところで年収は上がらない。
  • 日本では年収を上げるためには「社内価値」が大事だから
  • それでも安くない学費を払って国内MBAを履修するのはそれが「不安を癒やしてくれる」から。
  • 国内MBAを目指すやつは野心が足りない。それが日本企業の問題。

ということだそうです。

なんか、ツッコミどころが多いので、すべてには取り合いませんが、とりあえず調べてみました。

「海外MBAで年収2,000万が保証されている」は本当か?

トップ校の一つ、コロンビア大学ビジネススクール (Columbia Business School)が、卒業生の就職先のレポートを公開しています。しかも10年以上に渡って毎年。

Employment Reports | Recruiting Columbia Business School Students

で、これによると、卒業生の年収はこんな感じです。

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プロ野球選手の「契約金」みたいな一時払い金があるのはさすがアメリカですね。中央値が1,450万ということで十分高い年収であることには間違いないですが、「年収2,000万が保証されている」というのはちょっと言いすぎかと思います。

どんな業種に就職しているのか?

業種別の就職先を見てみましょう。こんな感じ。

 

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「金融」+「コンサルティング」で7割です。つまり、MBAだから年収が高い、というより、これらの業種が高年収、という話なのだと思います。もちろん、これらの業種はMBAを修了していないとそもそも採用されにくい、という見方もあり、必ずしも因果関係が無いわけではないですが。

ちなみに、金融はワークライフバランスが悪いということで、最近敬遠する傾向があるそうです。それでも割合としてはまだまだ高いですね。

いずれにしても、「海外MBAトップ校では7割が金融・コンサルティング業界に就職し、ために、年収が高い傾向にある」ということをご存知のはずなのに、なぜ書いていないのだろう?と疑問に思います。

どんな会社に就職しているのか

就職先TOP10はこんな感じ。

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業種と同じ結果です。で、ポイントは、いずれも業績による「Up or Out」(昇進出来なければ、去れ)が徹底されているであろう企業であること。「保証されている」というと、あたかもずっとその年収が続くような気がしますが、成果を上げられなければすぐにクビになる世界です。とても永続的に保証されているとは言えません。これも、上記の記事で意図的に触れていないところだろうなと思う部分です。

どんな会社が「年収2,000万」を払うのか?

もちろん、MBAを取ってようが、取っていまいが、年収2,000万以上を獲得している人はいると思います。一体どんな会社で、何をやったらそんなに貰えるのでしょうか?大企業でしょうか?あるいは歩合制の会社とかでしょうか?

経営者視点で考えれば答えは簡単です。仮に、あなたが社長だとします。目の前に一人で利益を2億円/年をコンスタントに稼げる人がいて、その人を年収2,000万で獲得できるチャンスがあるとします。あなたたはその人を採用するでしょうか?しないでしょうか?

犯罪まがいのことをしている人でも無い限り、その人を採用しないのは経営判断としてありえないと思います。会社の規模とか業界とか関係ありません。借金してでも採用するでしょう。

難しいのは、ひとりでそれだけ稼げるなら、その人は他人の会社に就職するより自分で会社をやったほうが圧倒的に実入りが大きい、という事実です。そんなことは本人が一番よくわかっているので、普通は確実に2億稼げる人を2,000万では採用できないです。

結局、何が言いたいのか。

実は、2,000万まで行かなくても、その半分ぐらいの年収のサラリーマン(それでもTOP数%ですが)で、一人で数億円の利益をあげていることはありえます。ただ、完全に一人の力というには難しい場合がほとんどです。皆、なんらかの形で会社の資産を利用しているか、組織力を利用しています。

事業の改善で利益を増やす方法もあります。

もし、100億円の純利を上げている会社で、全体の効率を2%良くするか、2%の成長をさせたなら、利益を2億円上乗せできます。しかし、次の年、また2%を上積みするのは当然大変です。毎年2%づつ向上させるとなるとまったく保証ありません。そうなると、2,000万払って改善できる可能性のある人を雇う(=固定費を増やす)よりは、コンサルタントに4,000万とか払って頑張ってもらうほうが会社としてはまっとうな判断になります。で、その半分をコンサルタントがもらう、と。

結局、明確に一人で数千万の利益を上げられる業種、となると、小売やメーカーではちょっと難しくて、金融がコンサルティングがメインになってくる、ということです。近頃の海外MBA修了者の方々にとっては、金融よりITや起業が人気のようですが。

 

何が言いたいのかというと、この記事について、「海外MBA=年収2,000万」を保証されていると言い切ることに違和感を感じること。そして、年収2,000万を貰える人は、その数倍の利益を会社にGiveできる人だし、給料を「もらえるもの」と考えている人には難しいんじゃないですかね、ということです。知らんけど。

rick08.hatenablog.com

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