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それ、僕が図解します。

世の中のビジネスモデルやいろんなものの複雑な仕組みを、できるだけわかりやすく説明してみたいと思います。主な話題はネットビジネス、不動産、オタクネタ、時事ネタなど。中途半端な説明や、図を使ってないものもあるかもしれませんが、温かい気持ちでお許しください。

社会人1年目の君は、今、生命保険に入る必要がない理由

 近くの喫茶店で本を読んでいたら、隣の席で保険の勧誘をやっていました。営業しているお姉さんは日本の大手生保。受けているのは今年就職したばかりの男性会社員のようです。

 聞かずともいくつかのセールストークが耳に入ってしまい、悶々とした気持ちになったので、まとめようかと思います。

対応しなければならないリスクはなにか?

 今年新入社員になったばかりの人(以下、新人君と呼ぶことにします)にとって、リスクとは何でしょう。

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「死ぬ」ことへの対策はあまりいらない。

 あなたが大学ベンチャーの創業者で自分の会社の株を沢山持っていて死後に散逸すると仲間に迷惑がかかる、という状況ならお金は必要でしょう。親が莫大な借金を背負っており「自分が死んだらせめて保険金でも役立ててほしい」なんて状況もあるかもしれません。そういう事情でない限りは、あまり対策はいりません。

老後の心配はまだ早い

 老後の前に、結婚や家族ができたり、その他長い人生でいくらでも変化が発生します。きちんとした資産作りの勉強を始めるのはお勧めしますが、老後まで具体的にイメージするのはもう少し先でもいいと思います。

一番のリスクは「働けなくなる」こと

 備える、ということであれば、特に若い人は「働けなくなること」だと思います。働けなくなることについては、無職になることも、収入が大幅に減ってしまうことも含みます。大きく、「失業する」「病気になる」「家族の事情」の3つで分けて考えられます。

・「失業する」の対策は「勉強すること」

 自己都合で退職するほかに、会社の都合で仕事が無くなることはいくらでも考えられます。会社が倒産することも。もちろん、どんな場合でも失業保険はしばらくもらえます。しかし、その次に仕事を見つける、あるいは、見つからないから自営で仕事をするにしても、勉強しておくことが一番の対策です。ここは保険の出番ではないように思います。

・医療保険はほぼ必要ない

 健康保険と会社の厚生年金に入っていれば、医療費の自己負担は極めて少額です。ガンの平均入院日数は何日か知ってますか?20日です。他の病気でも精神科以外を平均するとだいたい同じぐらい。食費と差額ベッド代を5,000円払っても20日で10万円です。そのために、いったいいくら保険料を払うんですか?
 「もし、健康保険がカバーできないような海外での心臓移植が必要になったらどうしよう?」といっても、残念ながら、臓器移植に対応できる医療保険はほぼありません。有るのかもしれないけど、仮にあったとしてもそうとう高額な掛け金が必要なはず。
 まずは今自分が使える社会保障についてしっかり調べましょう。

・「就業不能保険」って必要?

 実はあなたはすでにしっかりした就労不能保険に入っています。毎月引き落とされている健康保険と厚生年金と失業保険です。医療費は上述の通り自己負担は限定的。事故や精神的な不調などで長期間休むことになってしまった場合、一定期間なら健康保険から給付金があります。万一、不幸にも仕事が出来ないような障害が残ってしまった場合でも、障害年金が一生出ます。どうしようもなくなった場合、最悪、生活保護に頼ることだってできます。就業不能保険に入っていれば「足し」になることはあるかもしれませんが、まずは自分がふだん払っている社会保障でいったい何が担保されているのか確認してからでも遅くはないと思います。
 そして、会社がちゃんと社会保険の手続きをしているかどうか。ブラックな会社なら天引きはしても手続きをしてないこともあるらしいので。。。

・「学資保険代わり」にしたいなら自分で貯めよう

 最近の終身保険のセールストークに「学資保険代わりになります」というのがあるそうです。学資保険とは自分の子供が生まれた時に入って、高校生や大学生ぐらいになってお金が必要になったころに引き出されるものです。仮に、支払っている期間中に不慮の事故で自分が死んでしまっても残りの期間は保険会社が肩代わりしてくれるので、将来のお子さんの進学費用はきちんと支払われます。返戻金の率が100%近いので定期預金代わりに、と薦められます。同じようなもので低解約返戻金型終身保険というものがあります。

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 これは、払込期間の間の解約返戻金は低く抑えられているのですが、払込終了後は払い込んだ金額(赤線)よりも多い金額を解約時に支払ってくれる、というものです。

 20年未満で払込が終了になるものなら、その時点で解約して、自分の子どもの教育費に当てることができます。生命保険金の所得控除を受けることもできるので、毎年の年末調整でちょっとだけ嬉しい事があるかもしれません。自分で貯金しても税金上お得なことはないですからね。貯蓄のつもりで加入するならよさそうに見えます。

 しかし、独身の新人君の場合は、この目的の為に生命保険は必要ないです。子どもの学費は子どもが出来てから心配しましょう。仮に子どものためではなく、自分のMBA留学の費用のためだとしても、自分で定期預金にでも預けておいたほうがいいです。なぜなら、生命保険にするメリットは自分に万が一の事があった時に受取人にお金が渡せるからであって、自分が死んだら自分はMBA留学なんて出来ないですよね。

地震とか火災とか他人を傷付けたりとかのリスクは?

 自転車に乗ってて人を引いて運悪く相手の方が亡くなってしまった、みたいなことはあります。でもそれの保障をするのは損害保険です。地震とか火災とかについても全く同じです。

じゃあ、生命保険に入るのはどんな人?

 貯蓄がしっかりできてて、株とか債券とか不動産に分散投資できていて、それでも余ったお金があるひとが、「ちょっと自分の命にもレバレッジかけとくか」と、保険料を払ってかけとくものです。いわば、人生のプット・オプションです。自分の命を特定の金額で生命保険会社に引き取らせる権利を買うのです。

 もしあなたが35歳男性で1億円の資産を持っているとして、それを1%で運用できたとすると10年後の利益は税引き後でざっくり1,000万ぐらい。

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 ここで、保険に入ることにしましょう。 たとえば、ライフネット生命で35歳男性が1億円の定期保険(10年)に加入すると、払込金額は最大で約167万円です。その期間中にあなたが死んでしまった場合、家族に残す資産は資産1億円+運用益と保険金の1億円で倍の2億円以上を受け取れる可能性があります。

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 もちろん、運よく10年間生き延びることができれば、167万円は捨てることになりますが、いいじゃないですか。生き残ったんだから。(なお、ライフネット生命は一括払いができず月払いのみなので、167万は10年間の払い込み予定総額です。従って現在価値と単純に比較はできません。)

 ただ、この後、45歳でまた新たに保険に入ろうと思ったら、今度は掛け金が上がります。ライフネット生命なら払込金額は最大で405万円になります。55歳になればまた金額が上がり、最終的には加入できない年齢になります。

 だったら、掛け金の安い若いうちに、一生涯保障してくれる終身保険に入るのはどうでしょうか?

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 1億円の終身保険となると、払い込みの金額も1億円ぐらいになります。多少の配当金がつくものもありますが、もらえる保険金は1億円。ただし、終身なので必ずもらえます。もちろん、一度払い込んだ保険金は自分で運用できません(方法がないわけではない)。長期間お金を塩漬けにしておいて、帰ってくるリターンは自分が払ったお金と同額程度だとしたら、資産運用全体としてはあまりに率が悪いです。一方、契約途中で急にお金が必要になって解約したとしても、支払期間中なら解約返戻金は支払った金額より少ないのが普通です。つまり、終身保険は「死ぬまでに引き出すと必ず損する貯金」なんですね。

 「一括で入るなんて、現実的じゃない」と思うかもしれません。しかし、実際には一括で入ったほうが安いので、一括で入る方はいます。「全財産を全部保険に突っ込むなんて現実的じゃない」と思うかもしれません。しかし、月払いで加入したとしても、そのお金を運用できない点では同じなので、基本的にはこの図と同じ結果になります。

 例を「資産1億円」にしたのでわかりにくかったかもしれません。
 でも、桁が変わっても、保険金と保険料の関係は同じです。資産と保険金が500万円でもこの関係は変わりません。500万円だと支払う保険料は最大11万3千円。これを捨てれば、死んだら500万+αが家族に入りますし、そうでなければ10年生き延びてます。

 まあ、②を選択した場合、資産運用に失敗して、資産の1億円がマイナス1千万の借金になってる可能性も十分あります。その場合は、「保険に入っててくれて良かった!」と、遺族は感謝してくれるでしょう。

 結局、生命保険に入る人とは「資産があって、しっかり運用もしており、さらに命をレバレッジにかけてでも財産を多く残したい人」か、「猛烈に貯金が苦手で、資産作りとか運用を自分で考えたくない人」のどちらかになります。どちらにしても、保険は後の人のことを考えて入るものです。独身の新人君には関係ありません。

じゃあ、新人君はどうしたらいいのか。

 僕が彼なら保険に入らずお金を貯めておくと思います。それで200万ぐらい貯めたらアパートか区分マンションを買い、団体信用保険に入ります。団体信用保険というのは、万が一自分が死んでしまったら、代わりにローンの残りをまるっと払ってくれる、というものです。

 これだと、自分の死後、負債だけが残って両親が困る、ということもないですし、仮に将来結婚したなら、自分が死んでも相手に借金のない物件を残すことができます。指輪よりもよっぽどうれしいかもしれません。

 まあ、不動産でなくても株でも貯金でもなんでもいいと思うのですが、僕ならそういするというだけで。

 ちなみに、団信以外にも生命保険入ってます。若いころに「今はいると一生保険料が安いままだから」と言われるがままに入った終身保険とか。。。

 そして、上に書いたもの以外にもいろんな保険があります。貯蓄と保障と返戻金の組み合わせを微妙に変えて、いろんな商品を出しています。ポイントは、「保険に入ること」を目的にするのではなくて、「自分の資産をどうやって作るのか?」という視点から考えること。自分のことは自分で考えましょう、という身も蓋もない話になります。なんだ、結局前回のブログと同じ話かよ。

 

生命保険の話をもっと知りたければ。

生命保険のカラクリ (文春新書)

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僕の教科書。

まずはアパート一棟、買いなさい! 資金300万円から家賃年収1000万円を生み出す極意

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