読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

それ、僕が図解します。

世の中のビジネスモデルやいろんなものの複雑な仕組みを、できるだけわかりやすく説明してみたいと思います。主な話題はネットビジネス、不動産、オタクネタ、時事ネタなど。中途半端な説明や、図を使ってないものもあるかもしれませんが、温かい気持ちでお許しください。

「社会起業家になりたい」と言っている学生さんに言いたいこと

 乙武洋匡さんと佐藤大吾さんの共著「NPOの教科書」が出版されたので、早速読んでみました。NPOの果たすべき役割、株式会社との違い、NPOや寄付の税金について、素晴らしく良くまとめてあります。NPO歴18年のプロ佐藤大吾さんの国内・海外の事例に関する知識の膨大さはすごいですが、それを引き出す乙武さんの質問力も素晴らしいです。社会貢献に興味のある方は手にとってみられてはと思います。すでにNPOを運営している方にとっても参考になる考え方が書かれていると思います。

初歩的な疑問から答える NPOの教科書

初歩的な疑問から答える NPOの教科書

 

 

「社会貢献したい」という学生が増えてきた。

 さて、最近、学生さんにお会いした時に「営利企業で働くよりも、NPOなどで社会貢献することに興味があります」という人や、「社会起業家になりたい」という人が増えてきました。増えてきた、というより、優秀な学生さんはほぼ口を揃えて「営利よりも社会貢献に興味がある」と言います。

 

 東日本大震災の影響や、その後、様々な社会起業家の方、NPO法人などが積極的に活動してきた結果で、社会全体としてはいいことだと思うのですが、反面、すごく不安になることもあります。果たして、それでいいんでしょうか。

 

ファンドレイジングコストとは?

 寄付金や補助金、事業収益などで集められた資金は、その大部分が実際の社会貢献活動に役立てられます。しかし、その資金の一部は、団体職員の給与や、事務用品、物流費、広報費、送金の手数料などのコストに消えていきます。それら寄付を集めるために必要な経費のことを「ファンドレイジングコスト」といいます。

f:id:rick08:20150419161812p:plain

 ボランティアだからといって無給で働く必要はありません。職員の方が給料をもらうことは当然です。しかし、実際にはやりがい優先で給与は控えめなことが多い、と、この本の中にも書いてあります。 

 

 ファンドレイジングコストは団体によって異なります。事業系収入が多いところでは、収益の大半が支出になってしまうところもあるでしょう。寄付金を主体とするところは15−20%ぐらいが多いようです。

 

 たった、15-20%ですが、例えば、10億円集めた団体が、運営資金として1億円使っただけでも「使いすぎだ」「流用している」などと言われる可能性があるのが、いまの社会貢献団体に対する一般的な見方であることは知ってほしいと思います。

 

君は、初年度から寄付金を2,000万集めることができるのか?

 簡単な計算をしたいと思います。

 ある団体のファンドレイジングコストが15%だったとき、その団体はいくらあれば、新卒の学生を一人、雇えるのでしょうか?

 

 その学生は、一般企業なら24万/月のところ、NPOに18万/月で雇われたとします。人を雇うと、給料以外のコストも掛かります。社保+諸経費で給料の0.5倍かかるとすると、NPO側で実際にかかるコストは27万/月。年額で324万です。

f:id:rick08:20150419171710p:plain

 

 324万円が「ファンドレイジングコスト」ですので15%。つまり、2,160万集めることができれば、新卒を一人雇うことができます。年収の10倍です。はっきり言って、一般企業よりずっとハードルが高いです。

 

 逆にいうなら、新卒1年目から、いきなり2,000万円を稼ぎだすような自信がない限りは「NPOで働きたい」などと言ってはいけない、と、僕は思います。そうでないかぎり、あなたは「寄付金の無駄遣い」です。

 

 「お金が無いから働いて貢献したい」と、いうのはそんなに甘くないのです。 

 

給料から1万円寄付する友達を10人集めろ

 一般に社会問題の解決を目的としているNPO法人は、一般企業よりも収益性が悪いことが多いです。そりゃそうです。収益性が良いことであれば、営利を目的とした株式会社がすでに手をつけているはずだからです。

 

 そんな収益性の悪い事業で、年間2,000万もの新規の収益を上げることができる能力があるなら、今すぐ起業すべきです。そして、10億でも100億でも稼いで、その一部を寄付したらいいと思います。

 

 今、認定NPOに寄付すると、半分は税金の還付という形で戻ってきます。1万円寄付しても、実質の負担額は5,000円。スマホを格安SIMにするだけで捻出可能な金額です。年間で12万円。

 

 さらに、同じことをしてくれる友達を10人集めましょう。「働きたい」と思ってるぐらい強い意識があるなら、10人説得するなど楽勝なはず。まずは半分の5人でも構いません。

 

 仮に10人集められたら、120万。パートの方を一人雇うぐらいは可能です。貴方自身は会社で働きながら、立派に一人分の社会貢献が実現できると思いませんか?

 

どうしても貢献したいなら、スキルを磨け

 この本に「株式会社もNPO法人も求められるスキルは同じ。」と、あります。逆にいうと、スキルのない人間を雇う余裕は、NPO法人にはありません。もしあなたが、社会貢献したいと思っているなら、まずはスキルを磨くことです。PRやマーケティング、ITのスキルなら即戦力として使えるでしょう。

 

 さらに、別にフルタイムの職員にならなくても、イベントごとにイベントの告知を手伝う、とか、コンスタントに寄付してくれる人を増やす、とか、なんでもできるはず。そんな努力もせずに、「社会貢献したいからNPO法人で働く」というのは、やや安直に思えます。

 

さて、僕も寄付しよう

 これまでに、このブログ関連で入ってきた収入が2万円あります。これに自分の2万円足した4万円を、この本を通じてNPOについての学びを与えてくれた、佐藤大吾さんの運営するジャパンギビングと、被災地の子供の教育を支援する認定NPO法人カタリバに寄付したいと思います。

 

【追記】本件記事の内容は所属している組織とは関係がありません。