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それ、僕が図解します。

世の中のビジネスモデルやいろんなものの複雑な仕組みを、できるだけわかりやすく説明してみたいと思います。主な話題はネットビジネス、不動産、オタクネタ、時事ネタなど。中途半端な説明や、図を使ってないものもあるかもしれませんが、温かい気持ちでお許しください。

僕が軽減税率には絶対反対な理由

 消費税10%とともに、軽減税率が導入されることが与党間で同意されています(導入内容・時期などの詳細は未定)。僕は導入に絶対反対の立場です。理由は税務大学校の高田教授によるこちらの論文がその主なものですが、ここでわかりやすく説明したいと思います。

軽減税率とはなにか。

 消費税は、金持ちにも貧乏人にも分け隔てなくかかりますから、「貧乏人の負担が大きい」(逆進性がある)と、されています。そこで、食料品などの生活必需品に対しては消費税を軽減しよう、というのが「軽減税率」です。 EUでは多くの国で採用されており、軽減も半額程度から全額まで様々です。 食料品だけではなく、新聞や本、交通機関などが対象になることもあります。

反対の理由1 コストが掛かり過ぎる

 店舗はレジの設定を、ウェブサイトはシステムの設定を、その他、様々なところに影響が出ます。しかも、一時的にではなく、仕入れと販売があるかぎり永続的にずっと続きます。書類は増えるし、税金の計算も極めて厄介になります。そのコストを負担するのは、事業者であり、国民です。

反対の理由2 対象品がわかりにくい 

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 加工品か生鮮品か、持ち帰りか、イートインか、など、様々なルールによって、対象品が変わってきます。セブンイレブンのコーヒーを店の外で飲んだら税金軽いけど、店内で飲んだら通常の税金を払わなければならない、みたいなことになります。新しいモノが出てくるたびにルールを作らねばなりません。世の中のすべてのものを区分するのは現実的に不可能です。軽減税率は、一度はじめたらやめられないばかりか、どんどんルールが肥大化する最悪の税制です。

反対の理由3 すでに消費税が課税されないものが結構ある

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 生まれてから死ぬまでということであれば、すでに非課税な部分は多くあります。

反対の理由4 税収が減る

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 仮に食品だけを据え置きの8%にした場合、同じ税収を得ようと思ったら消費税を10%ではなく10.35%にする必要があります。なので、軽減税率は将来の税率アップの布石にもなります。(※金額は、8%→10%になった時に純増する税収額。平成26年6月 税制調査会公表資料より)

反対の理由5 実は金持ちのほうが恩恵が大きい

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 軽減金額だけ見れば金持ちのほうが負担が減る感じがあります。これを防ぐために「カニしゃぶはぜいたく品だから軽減しないでおこう」という話になります。じゃあ、その線引はどうするのか。10,000円のカニしゃぶはダメだけど、1,000円のお造りセットならいいのか?セットでなくて脚1本ずつならいいのか?何本まとめて買ったら贅沢なのか。考えるだけで面倒ですし、万人が納得のいく線引をすべての商品についてやるのは不可能ですよね。(貧困世帯のほうがエンゲル係数は高いので、負担感が軽減されるという議論ですが、「負担感」の測定の難しさもあります)

反対の理由6 貧困者の救済策は他にも有る

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 日本の貧困率は16%。約953万世帯の方々が世帯年収で200万を割り込む貧困に苦しんでいます。今回、軽減される税金の額が、1兆円。この金額を、貧困世帯数で割ると、1世帯あたり10万円です。消費税の負担を軽くするより、貧困世帯に10万円配るほうがよっぽど救済になります。なぜなら、消費税軽減なら金持ちも貧乏人も等しく恩恵が受けられますが、給付なら貧困者だけが恩恵を受けられるからです。(出典同じ)

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 仮に、世帯年収200万円の貧困世帯が軽減税率によって受けられる金額を計算すると、エンゲル係数が35%として、年間の食費は70万円。すべて食料品の購入だったとして軽減率が2%なら、軽減額は1万4千円です。同じ財源1兆円を、給付など他のやり方で、貧困世帯に手厚い方法で振り分けたほうが恩恵としては大きくなります。

国際通貨基金IMF 「効率性を阻害し、事務コスト・行政管理コストを増大させ、恒久的な歳入損失をもたらす。低所得者対策は低所得者層に対象を絞った補助金で対処されるべき」

軽減税率 - Wikipedia

 

誰が賛成しているのか?

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 このように、多くの団体が反対しています。

 じゃあ、誰が賛成しているのか。考えられるのは年金で生活していらっしゃるお年寄りの方々。年金額は変わりませんから、月々の支出はちょっとでも減らしたいという気持ちは分かります。しかし、お金を貯めこんでいるのも同じお年寄り世代。老人世代の貯金を取り崩して若い世代への資産の移転が行われるのが望ましいのに、軽減税率制度はそれに逆行することになります。

税は「わかりやすく」「公平に」「払いやすく」すべき

 税金の設計は政府の国民へのメッセージだと思います。国民が納得して払うためには「わかりやすく」「公平に」「払いやすく」すべきです。ここまで書いたとおり軽減税率はそのどれにも当てはまりません。

 現金給付に必ずしも賛成なわけではないですが、同じ1兆円使うなら、消費税の軽減税率導入より、貧困世帯に10万円配ったほうがまだましです。財源としてはパチンコ税がいいと思うのですが、それはまた別の時に書きます。

 とにかく、毎日買い物をするたびに「この軽減税率のせいで余計なコストが掛かってる」と思わされるのは本当に嫌です。毎日の生活に密着することだからこそ、政治家の皆様には、ぜひ考えなおして欲しいです。