それ、僕が図解します。

世の中のビジネスモデルやいろんなものの複雑な仕組みを、できるだけわかりやすく説明してみたいと思います。主な話題はネットビジネス、不動産、オタクネタ、時事ネタなど。中途半端な説明や、図を使ってないものもあるかもしれませんが、温かい気持ちでお許しください。

GDPの民間住宅部門が減ってるのに、住宅価格指数は伸びている謎

 11月17日にGDPの速報値が発表されました。これが悪かったので消費税が先送りされることとなったのですが、公表されたデータの内訳として、「民間住宅部門」というのがあります。内閣府統計表一覧 からデータを引用します。

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 第二次安倍政権発足以来、プラスで続いてきましたが、2013年7−9月をピークに伸びが鈍化し、4−6月はマイナス10%と、ものすごい冷え込みになっています。これが消費税駆け込み需要の反動、と言われていたわけですが、その次の7−9月期もマイナス6.7%となり、大きく落ち込んでいます。

 この期間、住宅の価格はどうなったのでしょうか?東証が「東証住宅指数」というのを発表しています。アメリカのケース・シラー住宅指数同様、2000年1月を100とした、取引価格を指数で表したものです。首都圏総合(東京・神奈川・千葉・埼玉)のデータが公表されています。 東証 : 東証住宅価格指数(試験算出)

 

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 これによると、4−6月を底に、直近7−9月は、住宅価格指数が上昇しています。つまり、物件価格は上がっています。

 需要が落ち込んでいるのに、価格が上がっているのはなぜでしょうか?

 アベノミクスでインフレ期待があります。土地の値段というのは株価などの動きから1−2年ほど遅れて現れるので、それがそろそろ反映されてきたのではないか?というのがひとつ。このデータは首都圏だけなので、日本全体でみたらやっぱり下がっているのではないか?というのがひとつ。物価が上がって景気が悪化するスタグフレーションになっているのではないか?というのがひとつ。2013年は成長してたのに価格指数は下がっており、そもそもGDP民間住宅部門と住宅価格の間には相関性が低いのではないか、というのがひとつ。

 

 他にも色々あるかと思いますが、海外要因もあると思います。

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 これは、中国企業の対日投資額の推移です。今年に入ってから激増しているのがわかります。理由は、円安です。中国から見て日本の資産が割安に見えているのではないか?と思っています。(JETRO 直接投資統計 - 貿易・投資・国際収支統計  より)

 中国は土地が私有ではありませんから、中国で儲けたお金で海外の不動産を買うのは資産の安定化という点で大きな意味を持ちます。増えた対日投資がそのまま不動産に向かっている、とはいえませんが、円安によって、日本の不動産がより魅力的に見えているのではないか?と思っています。

 むしろ、今年に入ってから海外からの投資があったためにこの程度の地価の下落で収まっており、これがなかったらもっと下がっていたかもしれません。ただ、GDPの民間住宅部門の規模に対して、海外からの国内不動産への投資額というのはわずかですから、まだ効果は限定的のような気もします。ここはよくわかりません。

 投資用物件においては、円が安いうちに海外投資家が日本の不動産を買いに来るので値段が上がり、日本人にはちょっと買いにくくなる、という状況を感じており、2015年もこの傾向が続くような気がしてなりません。