それ、僕が図解します。

世の中のビジネスモデルやいろんなものの複雑な仕組みを、できるだけわかりやすく説明してみたいと思います。主な話題はネットビジネス、不動産、オタクネタ、時事ネタなど。中途半端な説明や、図を使ってないものもあるかもしれませんが、温かい気持ちでお許しください。

お葬式とは4時間以内に100万円以上の意思決定を迫られるイベントです。

 私のいる鎌倉新書にて、昨年末に実施したお葬式経験者の方へのアンケート結果が、「第一回お葬式に関する全国調査」として公開されました。鎌倉新書では、「いい葬儀」という葬儀情報の提供サイトを運営しているのですが、その一環で消費者調査をしています。

 

「第一回お葬式に関する全国調査」アンケート結果|いい葬儀

 

 詳しいデータ内容、分析結果については上記のリンク先をご覧ください。

 とても興味深い調査結果が出ているのですが、2点だけ取り上げたいと思います。

 

6割以上の人が没後4時間以内に葬儀社を決めている

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 葬儀社を決めるのにかけた時間は6割が4時間以内。という結果です。全体のおよそ3分の1の人が2時間以内に決めています。没後のあたふたとした心の落ち着かない状況で、まるで引っ越しの時の業者さんを選ぶように冷静に相見積もりを取れる人はまれでしょう。短時間に決めている人のほとんどが病院から紹介された葬儀社にそのまま依頼している、というのが多いようです。

 ちなみに、病院で亡くなった場合、ずっと安置させてもらえるわけではなく、病院としては「早く出して下さい」ということになるので、ご遺体を運ぶための寝台車を手配しなければならず、早い意思決定を迫られる、ということがあるようです。

 事実上、葬儀社を選んだ時点で、ほぼ葬儀の費用は決まってしまいます。

 ではその葬儀の費用はどのぐらいでしょうか。

 

全国平均は総額203万。うち89万をお香典でまかなう。

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 費用に関するアンケート結果はこんな感じ。

 通夜・告別式・火葬といった、お式そのものにかかる費用が130万円。飲食が39万円、返礼品が39万円で、合計203万円という結果に。

 さらに、お香典の全国平均は89万円だったようです。

 もちろん、これは地域性に大きく左右されます。静岡県の一部では、「お茶摘みの時期はみんな忙しくなるから、火葬時間が待てない」という理由で、先に火葬をした後、お葬式をします(骨葬)。その場合、参列者のほとんどが精進落としの会食に参加するので、飲食代が高くなります。また、大阪府奈良県などではお香典は辞退することも多いようです。その場合、お香典の額は当然小さくなります。また、上記の金額には「お布施」「戒名代」「お心づけ」などは含まれていません。

 そのように様々な地域要因、特殊要因があるので、一概に平均をとることが必ずしも実態を反映しているとは限らないのですが、それぞれの個別の金額感は掴んでいただけるかと思います。

 

この価格は正当なのか?

 僕はこの金額について、考えるべきなのは、単純に高いか、安いか、ではないと思っています。 

 ちゃんと納得したお見送りができたのかどうか。たった2時間やそこらで、しかも身内が亡くなったという異常に不安定な心の状態の時に100万円以上の支出を迫られて、正しいと信じられる判断ができるかどうか、僕は自信がありません。

 

 実は、お葬式の値段の決まり方は、結婚式の値段の決まり方ととても似ています。

A お式のお金 (宗教的な道具・装飾・宗教行事と執行者・式場利用料)

B 飲食費   (結婚式なら披露宴・お葬式なら精進落とし)

C 返礼品   (結婚式なら引き出物・お葬式なら海苔とか)

 の、合計です。Aはキリスト教式か、仏教式か、神道式かで変わります。利用したい式場によっても違います。BとCは単純に参列者数に比例します。お葬式の価格が不透明だ、といわれるのは、殆どの人が喪主をやるのは初めてなのでAについての価格や内容の情報をほとんど持っていないこと。そして、参列者が何人来るかわからないのでBやCがいくら用意すればわからないから、です。

 

 ところで、上記の調査結果では、実際にやってみて困った点・後悔した点というのはこれらA,B,Cの価格ではないということがわかっています。A,B,Cの価格よりも、お布施・心づけや、式の進行がちゃんと出来たかどうか、という点。つまり、ちゃんとお見送りできたかどうか?そこに心残りがあるかどうかがとても重要です。

 

 結婚式なら、事前に自分で会場を回って、松竹梅いろいろ調べて、参列者も事前に分かってて、という状態で組み立てるので、支出としては大きいですが、本人なりに納得の行くものになるのが大半です。しかし、お葬式はそうではありません。極めて短い時間に、すごく少ない選択肢の中からバタバタと選んでいかねばなりません。

 

 しかし、いまはネットの時代です。何でもかんでも調べて、事前に備えておくことができる時代です。親しい人の死そのものは、全く納得の行かないものですが、有益な情報を提供することで、一人でも多くの人に「納得したお見送り」をしてもらえたらなあと思っています。

 

 ※本ブログは私の個人的な意見表明であり、私の所属する会社を代表しての意見ではありません。