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それ、僕が図解します。

世の中のビジネスモデルやいろんなものの複雑な仕組みを、できるだけわかりやすく説明してみたいと思います。主な話題はネットビジネス、不動産、オタクネタ、時事ネタなど。中途半端な説明や、図を使ってないものもあるかもしれませんが、温かい気持ちでお許しください。

【書評】スタンフォードの教え 「ビー・ユアセルフ」 水島 淳 著

読んでみた

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 スタンフォードの教え「ビー・ユアセルフ」

【本の要約】

  • 著者は東大法卒の弁護士で、「成長組織のマネジメント」と「ベンチャー育成環境」に興味を持ち、スタンフォードのビジネススクールに入学した。
  • 西海岸に留学した人が経験した、優秀な人との交流、パーティーやベンチャー立ち上げといったことについて生々しく描かれている。
  • 学んだことは3点に分けて書かれている。「リーダーシップ」と「マネジメント」そして「ベンチャー立ち上げ」について。
  • 「リーダーシップ」は入学前の旅行からすべての授業を通じて、チームをどうリードしていくかを常に試された。そのために「フィードバックは宝物」であった。
  • 「マネジメント」では、有名な経営者たちが次々にやってきて経験を語る。中でもクライマックスは先輩とビジネスの交渉のロールプレイを行う「エグゼクティブチャレンジ」。いわゆるMBAの授業と聞いてイメージされる内容。
  • 在学中にベンチャーを立ち上げる者も多く、著者も在学中に自分のアイデアでベンチャーを立ち上げてみようと試みる。それはうまく行かなかったが。
  • 学校の授業や筆者自身でのベンチャー立ち上げ経験を通じて、貴重な学びを得られた。
  • 得たもののうち、一番大事なものは「自分らしくあること」だった。

 

【感想】

  • スタンフォードに行きたい人は読んだほうがいい。
    2年間というのはあっという間に過ぎる。入学してから卒業するまでどうやって過ごしたかが克明に記載してあるので、自分がどうやって過ごすかイメージがつきやすい。行きたい気持ちを維持するにも役立つだろう。他大学を志望している人も参考になる。
  • 読みやすい。
    多少カタカナが多いが、自分の経験や気持ち、人のことが率直な言葉で書かれており、読みやすい。時系列的に書かれているのでなるべくなら順番に読むのがいいが、最初の方の自己紹介と学校の説明あたりを読んだら、あとは気になるところから読んでもいいかもしれない。
  • 挫折や悔しい気持ちがあまり書かれていない。
    在学中は楽しかったし、出会った人々が刺激的だったせいだろう。とにかくバラ色の留学生活が描かれている。もちろん、挫折や悔しいことがまったくかかれていないわけではないが、非常に選択的に書かれているように感じた。だから行きたい人にはオススメなのだが、そうでない人にとっては、著者と距離を感じてしまう。
  • 経済事情についても書かれていない。
    本書は「自分がGSB(スタンフォードのビジネススクール)で何を得たのか」という個人的経験にフォーカスを絞ったものであり、客観的な留学案内ではないし、MBAのカリキュラムを詳説するものでもない。とはいえ、これだけポジティブな内容であれば、同じ経験をしたいと思う読者は多いはず。大体2,000万円程度投資したという記述はあるが、学費、生活費、渡航費、その他にどのぐらいかかったのか、もっと知りたいと思った。

 

【最後に】

 著者は私の高校の後輩である。この本も献本いただいた。東大で弁護士で、趣味はサッカーで、明るくて人気者のイケメン。前髪がちょっと心配な以外は非の打ち所がないスーパーマンだ。正直、彼だからこの経験が出来たのであって、誰でもができるものではない。そういう意味で、多くの平均的なビジネスマンにとっては「高嶺の花」すぎて、「それはお前だからできたんだろう」と、ちょっと距離を持ってしまうかもしれない。

 こう考えればどうだろう。高い山にだれでもが登頂できるわけではない。しかし、高名な登山家の言葉は重く、人の心に残り、場合によっては聞いた人の人生を少し変えてしまうようなパワーがある。

 著者が2年間という貴重な時間と、英語や授業のための多大な労力とスタートアップに注いだ情熱と、投資した金額から得たものは「自分のことを知り、自分らしくあれ」。たったそれだけのことであった。

 そんなもの、留学しなくても分かるのである。振り返ってみて欲しい。あなたがあなたの人生において「自分が大きく成長したな」と思った瞬間、得られた結論が「自分らしくやる」ことだったという経験はなかっただろうか?勉強でもいいし、仕事でもいい。自分なりのやり方を見つけた時、人は前に進むことができる。

 ただし、自分のことを知るはしんどいし、自分らしくあることも簡単ではない。だから逃げがちだ。それは目の前にある大きく高い山なのだ。彼ぐらいの能力をもった人間が、猛烈な労力と努力を得て、ようやく登ることができるほどのものなのだ。

 感想に「留学してる人に読んで欲しい」と書いたが、本当は、ビジネススクールに行く余裕がない人、もうそんな歳じゃない人にこそ、読んで欲しい。そしてこのスーパーマンが、シンプルで力強い結論「自分らしくある」に辿り着いたその経緯を追体験して欲しい。エベレストに登った実感は登った人にしかわからないが、そこから得られた学びであれば、丁寧に書かれた経験談からなら、同じように学ぶことができる。

 正直、優秀な後輩がこんな貴重で素晴らしい経験をしていて、羨ましいし、悔しい。途中まではすごく悔しくて、斜めに読んでいた。でも、途中からその悔しい気持ちをぐっとこらえて、素直な気持ちで読むようにしたとき、私の中でちょっと変化が起こった。それがきっと「自分らしくある」ということの切れ端なんだと思う。それがどんなものなのか。それを知るのに登るべき山はたいしたものではない。たった本を一冊読むだけだ。ぜひやってみて欲しい。